土の記(上・下)
高村薫さんの「土の記」を読みました。
どんな物語かと言うと、めっちゃ簡単に言うと、
老いたにわか農夫の果てのない物思い、です。
特にこれと言った物語があるわけではなく、
起承転結というのも、かなりあやふやな感じ。
なのだけど、
ものすごい作品だと思いました。
高村薫さんは大好きな作家さんで、
「李歐」を読んで好きになりました。
単行本になっているものはほぼ読んでいて、
その中でも「太陽を曳く馬」で、ものすごい衝撃を受けた。
で、そこまでではないんだけど、
でも、この「土の記」はすごい。
主人公の伊佐夫の行ったり来たり、
飛んだりする思考の中に引きずり込まれて行く感じ。
激動と平穏の間には薄い膜があって。
その膜が破れないように行ったり来たり。
読んでると、見えないなにかものすごい圧力にずっと晒されている感じ。
描かれているものは平穏な?日常ではあるんだけど。
とても、面白かった。
ぜひ読んでみて欲しい。
あ、ただ、本を読み慣れていない人には厳しいかも、です。
あつを
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